創作彼女の恋愛公式の感想

久々にエロゲをやりました。
昨年9月にプレイした「さくらの雲*スカアレットの恋」以来のエロゲです。
良し悪しではなく、色々と思うところがあったので記憶喪失したときのために感想を残します。

TL;DR

ネタバレしない範囲で簡潔にまとめると

  • 絵はいい
    • 有葉絵あんまり好きじゃなかったけど、今回は割りと良かった、目元・表情が大変魅力的でついつい顔を見ちゃうヒロインズだった。
  • エロ、個々はいいけど全体で見るとかなり手抜き
    • 各ヒロインの長尺枠は有用度が高い
  • シナリオ
    • 個別が短い、かなり想像どおりのテンプレ展開
      ※ これはあくまで事実陳列であり、褒めでも貶しでもないです。
  • 体験版をやって桐葉か逢桜が好きになるなら、本編をやってもいいと思う。
    • 過度な妹厨のみゆめみ一点賭けが許されるのかもしれない。
  • 最初に攻略をおすすめするのは桐葉

以下普通にストーリーのネタバレがあります。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ストーリー構成について

共通が8章、各ヒロイン(3+1人)がそれぞれ2章立てでした。 アペンドでは各ヒロインの後日談(or if)が描かれてて、逢桜以外は1発ハメる為の小話という感じでした。
ルートロック式で逢桜以外の3人を攻略で逢桜ルートが開放という感じでした。 逢桜だけやって積もうかなと思ってたのでちょっとムカつきました。

ヒロインズ

彩瀬逢桜(CV:明羽杏子)

ヘッドライナーヒロイン。
今回はこれ目当てでプレイしました。
思うところは色々あるけど、まあ好きです。

月見坂桐葉(CV:夏峰いろは)

陰のヒロイン。
設定の都合上人間関係に敏いので見ててイライラしない、いい女。

凪間ゆめみ(CV: くすはらゆい)

顔も声も良い
くすはらゆい、全盛期雪都さお梨みたいな声をしている(大褒め言葉)
妹属性も良い
まとめて平たく言うとエロゲにお誂え向きな女。

雪妃エレナ(CV: 葉月ひかり)

知らん声優だったけど声はすごく良かった。

主人公が筆を折る状態という設定が必要で、
そのためにはその原因を作らないとで…
という物語の都合上無理やり作られた設定上の人物に、
とりあえずエロゲでよくある年上のグイグイ来るエロい天然のお姉さんという属性を付けた感じがして、
空き枠で好き勝手やってんなと思った。

共通ルートについて

共通は手放しに褒めていいと思う。
テンポよく話が進むし、章立てのお陰で社会人にも優しく途中で止められるゲーム。

よっぽどアホじゃなかったら共通ルートの時点で逢桜のことは気づきそう。 (自分は逢桜が主人公に見送られる別れ際のセリフでようやく確信になりました)

各ルートについて

記載は攻略順です

桐葉

イチャラブ→急転直下のバレ→ヒロイン不調→主人公が救う→ハッピーエンド
だろうなあとおもったらマジできれいにそれをなぞってて笑った。

当該ルートは正直そこまででも無いけど、 他ルートでの負けヒロインっぷりを堪能する意味で最初にやるのがおすすめ。

どのルートでも常に主人公の悩みを聞き、背中押し、etc……
やっぱりこういう「メインヒロイン」がいる作品にはメインヒロインじゃないのに好きになっちゃう女の子が1人はいるもんだよねと…。

萌えゲーアワードのベストキャラクター賞が桐葉なのも納得。
オタクはこういうヒロインに本当に弱い。

本作の「面倒で可愛いヒロインを描く」という目的にかなり沿ったヒロインで良かった。

ゆめみ

とにかく良くも悪くも可愛いだけ、
可愛いから許しそうになるけど主人公が恋に落ちる妥当性を一切感じなかった。
ルート中逢桜から、桐葉>>エレナ、のどっちかだと思ってたけどまさかそっちに行くとはという主旨の発言があったが、
正しくその通りで、桐葉やエレナを選ばずにゆめみを選ぶ理由がわからなくて、集中できなかった。
まあでもある意味これぐらい違和感のある恋愛の導入はある種エロゲっぽくもあった。
(これは悪い意味で言ってる)

エレナ

正直攻略対象じゃないほうがカジュアルで面白かったのではと思ってしまう。
「凄み」みたいなものをもっとちゃんと感じられたら良かったのかもしれないけど、
(もちろん書く時間が短かったかイーブンな戦いではないものの)共通ルートでは逢桜・主人公にコンペで負けてて 尊敬に足る人物なのかわからんかった。
攻略対象がシナリオライター・声優・イラストレーターと来てここでシナリオライター被っちゃってるからそこらへんでう~んとなるのかもしれん。
被ってるシナリオライター枠の逢桜が明らかなメインヒロインだからどうしてもハマり切れない感じがあった。

逢桜

メインヒロイン。
病気なのに激しいセックスし過ぎだし、
闘病中のおくすりの影響で赤ちゃんできない体になったから中出しして良いよは俺の倫理観だとシコれなかった。
アペンドのifは遠慮なくシコれるから本当に助かった。

というのはさておき、やっぱり本編最後の顛末、
俺たちオタクはヒロインが死ぬという結末に対して「ハッピーエンドである」と思って良いのか、
この点がこの作品を賛否両論たらしめてると思う。

ハッピーエンドなのか

まず公式の定義としては、萌えゲーアワードのシナリオライターの言葉を引用するなら

ただ、自分は紛れもないハッピーエンドとして書きました。

とされていることから少なくともライター的にはこの物語はハッピーエンドではあると思う。

ただ、ハッピーエンドというのは、結局
「筆者の定義」なのか
「物語のヒーローにとってハッピーか」なのか
「物語のヒロインにとってハッピーか」なのか
「読者の読後感」なのか
が自分の中では定義されていない。

デジタル大辞泉を借りればハッピーエンドとは

小説・演劇・映画などで、物語の最後が都合よくめでたく終わること。幸福な結末。

とされている。

いや結局誰にとっての都合なんだよという感じがする。
今回は上記の4つの観点から今回の物語についてハッピーエンドであるかを考えていく。

筆者の定義

上述の通り、筆者はこれをハッピーエンドであるとしている。 ヒロイン生存ifを逢桜 BAD END AFTERと名付けてるあたりからも明白である。

物語のヒロイン・ヒーローにとってハッピーか

この物語がヒロインにとってどうだったか、
それについては、物語の最終盤、背中合わせで物語を書き起こすシーンに表現されている。

逢桜「慎一郎の台詞『この結末はハッピーエンドだと思うか?』」
逢桜「愛姫の台詞『それを決めるのはわたし達だよ』」
逢桜「それで最後に愛姫はこう言うんだ……」
逢桜「『少なくとも、わたしはさ……』」
逢桜「『この結末で、幸せだったよ』って」

つまりそういうことだ。
(これ最後のところだけ『』外れてたりしたらちょっとゾクゾクっっとしたかも)

ただ主人公にとってどうであったか、これがすごく悩ましい。
逢桜のこれがハッピーエンドなんだっていう言い回しにはっきりと同意していた記憶はない。
(してたとてそれを真実として受け止めるべきなのかという話もあるし)
でもクリエイターとしても、1人の男としても、
逢桜がクリエイターとして選んだ最期を支持するのはそうだろうなと思う
死んだあとも前を向いて歩いてるんだしまあハッピーだったということにしようと思う

読者の読後感

ながながと何だかんだ言ったけど、
物語の整合性とか美しさ的には確実に逢桜はああなった以上死ぬべきだったと思う。
だから背中合わせのシーンは悲しくも美しく…。
ということで物語のオチとしての妥当性はすごく高かった。

逢桜「この世界はどこまでいっても現実しかなくて、奇跡なんてない」

ああ、そうだなと思った。
だから終わり方には納得が行った。

いやでもさ…そういう文脈はクリエイター自身の閉じた世界でしか通用しないよなと。 とどのつまり、クリエイターでも何でも無い自分みたいな人間が、 クリエイターの世界でしか通用しない自己満の「ハッピーエンド」を見せつけられちゃったなあと。

こうやってルートロックで1人だけメインヒロインを作るなら、
せめて手術するかどうかを選択肢で分けてこちらに選ばせてほしかった。
そうしないせいで本当に「見せつけられてるだけ」の物語になってしまった。
細かい不満はたくさんあるけど、一番思う不満はこれ。

だから本編の読後感はクリエイター特有の思想があることを踏まえても、
「しかたなさ」と「無力感」しかない。
つまり、読後感で言えば明らかにハッピーエンドではなかった。

結論

だからこの物語は「クリエイターにとってのハッピーエンド」ではあったが、
自分のような消費オタクには到底受け入れがたいエンディングだった。

BAD END AFTER

これ見て、クリエイターじゃなくなった逢桜に若干の寂しさを感じたけど、
生きててくれてよかった~と思えた。
これを「BAD END AFTER」とするの、ムカつくけど、許す。

改めて

「この世界はどこまでいっても現実しかなくて、奇跡なんてない」

これはそうだと思う。
でも現実を生きる自分たちは無いって思ってる奇跡が起きてほしいと思って日々を過ごしてる。

物語の中の登場人物にとっての現実は、僕にとっての物語で、
だから、僕は逢桜たちに、コンテンツとして「ハッピーエンド」を愚直に求めてる。

逢桜のハッピーエンドが逢桜にとってのハッピーエンドであることは事実であると同時に、 自分にとってのハッピーエンドではないなと思った。
物語というのはままならんなぁ~~

最後に

ライターの思うハッピーエンドは自分にとってはハッピーエンドではなかった。
だからこの作品の本編はハッピーエンドとは認めたくない。
でもBAD END AFTERという形で見たいものを出してくれたからギリギリ許す。

正直クリエイターの狂気的なものを描写するには表現が稚拙に感じる部分が多くて、
冴えカノとかぼくリメを思い出しながらそこら辺補正して読んだから読み切れたけど荒削り感が否めない。

エロシーンは駆け足に3連投、パターンが4ヒロイン全部一緒
共通長いけど個別が短くてボリューム不足感あり

文句はいっぱいあるけど
わざわざこうやって気持ち抑えられず珍しく長文感想書いちゃった以上、こちらの「負け」かなと思う。
いい作品でした。

以上